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【体験談】血中酸素84%|立山で高山病になった話

8月30日
読了時間: 9分
縦走した立山の山々。左から雄山、大汝山、富士ノ折立
縦走した立山の山々。左から雄山、大汝山、富士ノ折立

こんにちは。

西川口で「好きなことを続ける身体ラボ」を運営しているゆかりです。

登山やバレーボールなど、好きなことを長く楽しむためには、身体のメンテナンスが欠かせません。

このブログでは、ストレッチトレーナーとしての知識と、

私自身の体験をもとに、動きやすい身体づくりのヒントを発信しています。



はじめに


先日、富山県の立山連峰に登山に行った際、初めて軽い高山病になりました。

登山を始めて丸3年、一度も高山病にかかったことがなかったため、まさか自分がなるとは思ってもおらず、症状が出ていても「高山病だ」と気づけませんでした。

結果的には山小屋のスタッフさんに助けていただき、翌日は絶好調で下山できたのですが、振り返ると危機一髪だったなと思います。

備忘録を兼ねて、その時の話を残しておきます。



高山病とは?症状と、なりやすい標高


標高が高い場所では気圧が下がります。空気中の酸素の「濃度」自体は変わらないものの、取り込める酸素の量が減ります。この低酸素状態に体が適応しきれないときに起こる

一連の不調が、高山病です。

一般的には標高2,500m前後から発症しやすくなりますが、個人差が大きく、

2,000m以下でも症状が出る人がいます。

富士山(3,776m)はもちろん、日本アルプスの山小屋泊でもよく起こります。


◆ 主な症状

頭痛が中心的なサインで、これに加えて次のいずれかが出ると高山病と判断されます。

  • 吐き気・嘔吐

  • 食欲不振

  • ふらつき、めまい

  • 全身の倦怠感・脱力

  • 眠れない、または眠りが浅い

よく「二日酔いに似ている」と表現されるようですが、私はお酒を飲まないのでピンときませんでした。

実際になってみた感覚としては、胃腸炎が一番近いです。

吐き気と寒気で何も食べられなくなる感じは、胃腸炎になった時とそっくりでした。

そこに頭痛が加わって、とにかく横になりたい。そんな状態です。



◆ まれに起こる、危険な重症型

頻度は高くありませんが、命に関わる2つの病態があります。

  • 高地肺水腫(HAPE):肺に水が溜まる。安静時でも息が苦しい、ピンク色の痰、激しい咳

  • 高地脳浮腫(HACE):脳がむくむ。まっすぐ歩けない、意識がもうろうとする、言動がおかしい

どちらも、すぐに標高を下げることが唯一の確実な対処法です。



立山で高山病になった時の話


2026年8月17〜18日、富山県の立山へ縦走登山に行った時のことです。

山小屋に到着して夕食の時間になるまで、自分が「高山病」だという自覚がまったくありませんでした。


◆ 夜行バスで新宿から室堂へ

移動日は仕事や準備で普通に日中活動していたため、仮眠は特になし。その状態で夜行バスに乗りましたが、揺れやいつもと違う環境であまり眠れませんでした。

深夜のトイレ休憩で起きた時、バスの揺れのせいか頭痛が始まります。薬を飲んで仮眠を取り、到着する頃には頭痛が和らいでいたので、気にも留めずに高度順応のため1時間ほど室堂で過ごしました。


◆ 「ちょっと調子が悪いだけ」

歩き始めはしんどいながらも順調でしたが、次第に足が重くなり、いつものようにペースが上がりません。

途中で頭痛がぶり返し、頭痛薬を飲んでもあまり効きませんでした。

さらに、食欲もいつもよりもあまりなく。

もともと私は、登山中にバクバク食べるタイプではありません。たくさん食べるとかえって動けなくなるので、行動食はほぼ食べず、お昼はしっかり食べるのが普段のスタイルです。


この日は、お昼時になっても食欲はあまりなく、なんとか持参したカップラーメンを完食。

この時点では「久々の登山だし、高山だからちょっとコンディションがイマイチだな」

くらいにしか思わず、そのまま山小屋を目指して歩きました。

幸い、ふらつきやめまいはありませんでした。


◆ 「高山病かも?」と気づいた瞬間

自覚したのは、山小屋に着いて夕食の時間が近づいてきた頃です。

なんとなく寒気がしていましたが、「山小屋に着くといつも寒いし、真夏でもやっぱり寒いな」くらいに思っていました。

そのうちだんだん頭痛が激しくなり、少し気分がすぐれないと感じていたところに、

食事の匂いを嗅いで一気に気持ち悪くなってしまったのです。

食欲はもちろんありません。

それでも、せっかく作ってくださった山小屋のスタッフの皆さんに申し訳なくて

少し口にしたのですが、食べると余計に吐き気に襲われ、箸が進みませんでした。


残してしまう申し訳なさから、直接スタッフの皆さんに

「体調不良で食べられなくてごめんなさい」と謝りながら、食べ残しを下げに行きました。



◆ 血中酸素84%

部屋に戻ろうと食堂を出たところでスタッフさんのお一人に声をかけられ、

血中酸素濃度を測ることに。

指先にはめて測る器具を見て「あー、これコロナの時に見たやつだ……」と

ぼんやり眺めていたら、出た数値は84%

これはかなり低いらしく、救護室のようなお部屋に案内され、即座にベッドに横になって

酸素吸入器を渡され、「15〜20分ほど酸素を入れて様子を見ましょう」と言われました。

その後、「頭痛はあるか」「食欲は」「吐き気は」と聞かれて受け答え。

布団に入っても寒気は止まらず、ブルブル震えながら目を閉じているうちに、

うとうとしていました。


再度スタッフさんが来て測ってもらったところ、97%まで回復。

頭痛も少し和らぎ、部屋に戻って就寝準備をすることになりました。


◆ 回復まで

布団を敷きながらも頭痛と吐き気と寒気が続き、「とにかく早く身体を休めなくては」と 本能が働いて、最小限の動きで準備を済ませて就寝。おそらく18時前だったと思います。

同じ部屋の友人が出入りする音で目が覚め、「乾燥室に服を取りに行かないと湿ってしまう」と思いつつ、動いたら頭が痛くなりそうで、布団の中でうとうとしながら様子見。


20時20分ごろに頭痛が治まったので、トイレと服の回収へ。

部屋に戻る頃には体がだいぶ温まっていたので、ダウンを脱いで再び布団に入りました。

そこからは浅い眠りが続きましたが、思い出して頭痛薬を飲むと頭痛はすっかり治り、

3時過ぎには星を見るために外に出られるほどに回復。

その後は食欲も戻り、無事に復活です。2日目はいつも通りのペースで歩けて、

絶好調で下山できました。



なぜ高山病になったのか?


私はもともと片頭痛持ちで、日常生活から頭痛があるのが当たり前の状態でした。

そのため、少しくらいの頭痛は「いつもの片頭痛。薬を飲めば治る」という気持ちがあり、今回も服薬したら治ったので、高山病の発見が遅れたのだと思います。

というよりも、高山病と片頭痛のダブルパンチだったのだろう、というのが実感です。

その上で、今回のリスク要因は以下のとおりだと推測しています。


  • 夜行バスで睡眠が不十分だった

  • バス酔いで体調がすぐれなかった

  • バスの中ですでに頭痛があった

  • 最初に急登、その後アップダウンの連続だった(歩く速度自体はゆっくり)

  • 頭痛が薬で緩和されたため、初期症状を見分けにくかった

  • 1ヶ月ぶりの登山だった(運動は多少していましたが)

  • いつもより重い荷物を背負っていて、血行不良を起こした


この中でいちばん効いてしまったのは、やはり睡眠不足だと思っています。

睡眠が足りないと呼吸も浅くなりやすく、体が高度に順応する力も落ちてしまいます。

登山の前日にしっかり眠ることは、それだけで立派な高山病対策です。

眠りの質を上げるコツについては別の記事にまとめているので、よければあわせてどうぞ。




今回の教訓


これだけ要因が重なれば、なるべくしてなったという感じです。

次回以降はリスクをできるだけ避けて、楽しく登山に臨みたいと思います。


  • 登山の時は高速バス(夜行バス)を使わない

  • 前日は睡眠を十分に取る(前泊、もしくは当日移動にする)

  • 荷物はできるだけ軽くする(「使うかもしれない物」は、たいてい使わない)

  • 「自分も高山病になるかもしれない」という前提で行動する

  • 「頭痛+いつもより動けない=高山病かもしれない」と疑う



高山病を防ぐためのポイント


最後に、一般的な予防法もまとめておきます。

いちばん効くのは「ゆっくり登る」こと。

体を高度に慣らす時間(高度順応)を取るのが基本です。


  • 標高2,500m以上では、寝る場所の標高の上昇を1日300〜500m以内に抑える

  • こまめに水分を取る(脱水は症状を悪化させます)

  • 意識的に深く呼吸する

  • 到着当日の飲酒・睡眠薬は避ける

  • 予防薬としてアセタゾラミド(ダイアモックス)がありますが、医師の処方が必要です


そして何より、不調を感じたら無理をせず、早めに人に伝えること

今回、私が大事に至らなかったのは、山小屋のスタッフさんが声をかけてくださったおかげです。本当にありがとうございました。


まとめ


今回いちばん反省したのは、「いつもの頭痛だから大丈夫」と自分で決めつけてしまったことです。

片頭痛持ちの私にとって頭痛は日常の一部で、だからこそ身体からの「今日はいつもと違う」というサインを、いつもの範囲に押し込めてしまいました。

これは、山の上だけの話ではないなと思います。


「いつもの肩こり」

「いつもの腰痛」

「いつもの疲れ」


毎日感じているものほど、私たちはそれを"当たり前"として処理してしまいます。

でも、本当は体がずっと同じサインを出し続けているのかもしれません。

血中酸素84%という数字は、自分の感覚と体の実態がこれだけズレることがある、

と教えてくれました。

好きなことを長く続けるために必要なのは、根性でも気合でもなく、

自分の体の"いつも"を知っておくことなのだと思います。

その上で、「今日はいつもと違う」と気づけたら、それが一番の予防策です。

山でも、日常でも。


※この記事は個人の体験に基づくものです。症状が出た場合の判断は自己責任で行い、

必要に応じて医療機関にご相談ください。



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