「身体が柔らかいほど有利!?」|スポーツで本当に必要なのは可動域
はじめまして。
「好きなことを続ける身体ラボ」を運営しているゆかりです。
登山やバレーボールなど、好きなことを長く楽しむためには、
身体のメンテナンスが欠かせません。
このブログでは、ストレッチトレーナーとしての知識と、私自身の体験をもとに、
動きやすい身体づくりのヒントを発信しています。
はじめに
「体が柔らかい方が、スポーツには有利」と聞いたことはありませんか?
反対に、体が硬いと、
ストレッチをしないと損をしているような気持ちになる方もいるかもしれません。
先に結論をお伝えします。
柔らかさは、身体全体ではなく「部位と方向」ごとに違います。 そして、
パフォーマンスが分かれるのは、その動きに必要な部位の可動域があるかどうかです。
この記事では、研究でわかっていることと、私がバレーやクライミング、
登山で見てきたことをお伝えします。
「柔らかいほど有利」とは言い切れない理由
結論から言うと、体が柔らかいほど競技の成績が上がる、とまでは言えていません。
ストレッチで可動域(関節が動く範囲)が広がることは、多くの研究で確かめられています
ただ、競技に近い成績で測った研究は少なく、約300の試験をまとめた2024年のレビューでは、競技に近い成績で測った試験は15%に届きませんでした
関連が出やすいのは、体操や水泳のような、大きな可動域が必要な動きです
競技によっては、柔らかすぎると筋肉の力が出しにくくなることもあります
運動の直前に1分以上同じ姿勢で伸ばすと、筋力や瞬発力が一時的に下がることがあるとされています
研究は競技ごとに結果が違うので、ひとまとめには言えません。
それでも、「柔らかいか、硬いか」より、
「その動きに必要な可動域があるか」で考える方が、
実際の動きに近いと私は考えています。
「柔らかい人」「硬い人」ではなく、部位と方向で見る
私は、全体的には柔らかい方だと思います。
ただ、部位と方向で見ると、かなり差があります。
股関節の屈曲(くっきょく/太ももを前に持ち上げる動き):柔らかい
股関節の外旋(がいせん/脚のつけ根から外側にひねる動き):硬い
足首:硬い
手首:柔らかい
同じ身体の中に、柔らかい場所と硬い場所があります。
「柔らかいか、硬いか」を1つの答えで言い切れないのは、このためです。
大事なのは、自分が使いたい動きに、必要な部位の可動域があるかどうか。
次から、実際の動きで見ていきます。
バレーで見る|動きごとに、必要な可動域が違う
バレーボールは、レシーブとスパイクで、使う部位が変わります。
レシーブ:股関節と足首

深くしゃがめる方が、ボールをしっかり受け止められます。
威力を殺して、いいボールを返球できるからです。
横にそれたボールにも、サイドランジ(脚を横に大きく踏み出して、
腰を落とす動き)を深くすれば、ボールの真下や正面に入れます。
その分、返球率が上がります。
硬いと、それができません。
深くしゃがんだり、サイドランジで腰を落としたりするときには、
股関節と足首の可動域が関わります。
私が硬い足首や股関節の外旋は、ここに関わっていると考えています。
私自身は、動画を見て、自分のレシーブの姿勢が高いことに気づきました。
深くしゃがめていなかったのです。
サイドランジの姿勢が取れないと、ボールを弾きやすくなります。
最近は、少しずつ柔らかくなってきて、取れるボールが増えてきたと感じています。
レシーブの姿勢については、バレー前編でも書いています。
スパイク:胸郭・足首・手首

スパイクは、部位ごとに役割が違います。
胸郭(きょうかく/肋骨で囲まれた胸の部分)の回旋(かいせん/ひねる動き)ができると、全身の力をボールに乗せて打てます
足首の可動域が狭いと、深く沈み込めず、地面からの反発をジャンプに変えにくくなります
手首が柔らかいと、ボールに回転をかけられるので、相手が取りにくくなります
柔らかくなっても痛みがまた出る理由と、鍛えることの大切さは、後編に書いています。
クライミングと登山|足が上がるかどうか
足を高く上げる動きは、股関節の可動域が、そのまま差になりやすい場面です。

クライミング
以前、毎週通ってくださっていた、クライミングをされている方がいました。
通う理由は、「クライミングのトレーニングの前に来ると、
足が上がりやすいから」とおっしゃっていました。
1年以上前のことなので、細かい言い回しは違うかもしれません。
足が上がると、ルートの選び方に幅ができます。
足が届かなくてクリアできなかった課題を、
クリアできるようになったという話も聞きました。
登山の大きな段差
登山では、大きな段差で、可動域の差が出ます。
股関節と足首が硬い、身長は私と同じくらい(160cm前後)の方がいます。
もともと歩くのはゆっくりですが、大きな段差になると、さらにゆっくりになります。
足が上がらないのは、可動域が狭いからだと考えています。
ただ、これは1人の観察です。
全員がそうとは限りません。
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柔らかすぎて困る人は、現場ではあまり見ません
結論から言うと、柔らかすぎて困っている方は、私の現場ではあまり見ません。
ストレッチに来てくださる方は、基本的に硬い方が多いからです。
一方、研究では、ジャンプやスプリントのような動きで、
筋肉や腱の「硬さ」(ばねのような性質)が高いほど成績が良い傾向がある、
という報告もあります。
これは、関節が動く範囲の広さとは別のものです。
ばねのように、力をそのまま伝える動きでは、
ある程度の硬さが役に立つのかもしれません。
つまり、「柔らかいほどいい」ではなく、「必要な分だけ」です。
自分の動きに必要な可動域が足りているところは、無理に広げなくても大丈夫です。
足りないところだけを、見つけて広げます。
運動の前と後で、私がやっていること
私自身が、運動の前後でやっていることをお伝えします。
運動の前は軽く動かして、運動のあとにしっかり伸ばす、という使い分けです。
バレー
前:チームで行う体操(ストレッチと軽く動く)をします
後:ラジオ体操のように動かすストレッチと、軽い静的ストレッチ(止まって伸ばすストレッチ)をします
登山
前:できない日もありますが、ふくらはぎ、もも前、お尻、上半身を軽く伸ばします
もも前は、動かしながら伸ばします
後:温泉に浸かりながら、全身を伸ばします。もも前、もも裏、お尻、内もも、ふくらはぎ、腰回り、胸、背中、肩、二の腕を、10秒を1〜2セットです
温泉に行かないときは、帰宅してから、自宅の湯船で伸ばせる範囲を伸ばします
登山の前後については、こちらにくわしく書いています。
やってはいけないこと
運動の直前に、1分以上、同じ姿勢で長く伸ばすことは、おすすめしません。
筋力や瞬発力が一時的に下がることがある、と言われているからです。
運動の前は軽く動かして、しっかり伸ばすのは、運動のあとにします。
まとめ
今回のポイントです。
体が柔らかいほど有利、とは限りません
柔らかさは、身体全体ではなく、部位と方向ごとに違います
運動の前は軽く動かして、しっかり伸ばすのは運動のあとにします
まずは、自分の硬い部位を知るところから、始めてみてください。
可動域が広がると何が変わるかは、こちらの記事でも書いています。
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