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登山で攣るのは、ふくらはぎより「太ももの内側」|ストレッチトレーナーが見てきた攣る人の共通点

9月24日
読了時間: 13分

更新日:6 日前

はじめまして。

「好きなことを続ける身体ラボ」を運営しているゆかりです。


登山やバレーボールなど、好きなことを長く楽しむためには、

身体のメンテナンスが欠かせません。

このブログでは、ストレッチトレーナーとしての知識と、私自身の体験をもとに、

動きやすい身体づくりのヒントを発信しています。



本日のお題:登山で足が攣るのは、塩分不足のせい?


下山の途中で、太ももの内側が急に攣って足が止まってしまった。

水も塩分もちゃんと摂っていたのに、どうして攣るんだろう。


そんな経験はありませんか?


足が攣ると聞くと、多くの方がふくらはぎを思い浮かべます。

ところが私が山で見てきた限り、登山で攣って動けなくなる方の多くは、

ふくらはぎではなく太ももの内側です。

しかも攣る場面は、登りではなく下りに偏っています。


この記事では、なぜ内ももなのか、なぜ下りなのかを身体の仕組みから解説します。

そのうえで、山に行く前と山の中でできることをお伝えします。



こんなお悩みありませんか?


  • 下山の途中で太ももの内側が攣った

  • 塩分やミネラルを摂っているのに攣る

  • 登りでふくらはぎがつりそうになる

  • 攣るのが怖くて、下りのペースを上げられない


1つでも当てはまる方は、最後まで読んでみてください。



そもそも、足が攣るとき身体では何が起きているのか


対策の話に入る前に、少しだけ身体の仕組みに触れさせてください。

ここを知っておくと、後半の話がぐっと分かりやすくなります。


足が攣るというのは、筋肉が強く縮んだまま、

自分では緩められなくなった状態のことです。

医学的には筋痙攣(きんけいれん)と呼ばれます。


ここで知っておいていただきたいのが、

筋肉には2つのセンサーが付いているということです。


  • 筋紡錘(きんぼうすい):筋肉の中にあり、伸びすぎを防ぐセンサー

  • 腱紡錘(けんぼうすい):筋肉と腱のつなぎ目にあり、縮みすぎを防ぐセンサー


腱紡錘は、ゴルジ腱器官という呼び方もされます。


この2つがうまく働いている間は、筋肉は伸びすぎも縮みすぎもしません。

伸ばされれば「これ以上は危ない」と縮める方に働き、

縮みすぎれば「そろそろ緩めよう」と反対に働きます。


ところが筋肉が疲れてくると、

このうち縮みすぎを防ぐ側のセンサーの働きが落ちてくると考えられています。

すると本来ゆるむはずの筋肉が、縮んだまま戻らなくなります。

これが攣るということです。


つまり足が攣る背景には、その筋肉が使われ続けて疲れているという事情があります。

だとすれば、登山で一番働き続けている筋肉はどこなのか。

そこを考えると、攣る場所の見当がついてきます。



内ももが攣るのは、下りでいちばん働き続けている場所だから


太ももの内側にある筋肉を、まとめて内転筋群(ないてんきんぐん)と呼びます。

骨盤から太ももの骨にかけて付いている、いくつかの筋肉のまとまりです。


内転筋群と聞くと「脚を閉じる筋肉」という説明をよく見かけます。

それも間違いではないのですが、歩いているときの仕事はもう少し地味で、

もう少し大変です。


骨盤から太ももの内側に走る内転筋群の位置を示した図

下りでは、足が浮いている間も働いています


歩くという動作は、片脚で全体重を支える瞬間の繰り返しです。

片脚立ちになったとき、骨盤が横に傾かないように支えているのが、

内転筋群とお尻の横の筋肉です。


内転筋群は、足が地面に着いている間だけでなく、

足が宙に浮いている間も働き続けていると言われています。

着地の衝撃を受け止め、腰と膝が落ちてしまうのを防いでいるのです。


下りでは、この仕事がとても重くなります。

一歩ごとに身体が落ちようとするのを支えなければならないからです。

しかも下りは、登りに比べて着地の衝撃が大きくなります。


だから、下りで最初に音を上げます


ここで思い出していただきたいのが、登山の順番です。


多くの場合、私たちは登りで疲れた脚のまま下りに入ります。

すでに働き続けて疲れている内転筋群に、支え続ける仕事がさらに重なるわけです。


先ほどの、疲れるとセンサーの働きが落ちるという話と重ねてみてください。

下りで内ももが攣るというのは、ずいぶん筋の通った話に見えてこないでしょうか。


下りの負担については、膝の話としても書いています。

膝が痛くなる方は、原因が膝そのものではないことがほとんどです。




冬の毛無山で、山仲間が内ももを攣りました


ここで、実際にあった話をひとつ。


山梨県の毛無山に、冬に登ったときのことです。

急な登りが続く山で、登り応えのあるコースでした。


落ち葉と岩と木の根が入り混じった冬の登山道

このとき一緒に歩いていた方は、普段から内ももを攣りやすい方でした。

下りで攣ってしまうのは、この日が初めてではありません。


下山の途中で、その方の足が止まりました。

片方の内ももが攣ってしまい、反対側も攣りそうになっている状態でした。

歩けなくなってしまったので、その場で休憩することになりました。


そこで、もう一人の同行者が貼るカイロを勧めてくれました。

その2週間ほど前の山行でも同じように足が攣り、

温めたら動けるようになったのを見ていたからです。


太ももにカイロを貼って5分ほど様子を見て、動けそうだということで、

下山を再開しました。


※貼るカイロは、肌に直接ではなく衣類の上から貼ってください。

低温やけどの心配があります。


温めたら動けるようになった、という事実


このとき私が引っかかったのは、温めたことで動けるようになったという点です。


水分でも塩分でもなく、温めたことで変わりました。

しかも同じことを、その2週間ほど前にも経験しています。


これが、私が冷えを疑うようになったきっかけでした。



冷えが、攣りやすさを押し上げる


登りでは、たくさん汗をかきます。

その汗を含んだ状態で下りに入ると、身体は思った以上に冷えていきます。


冷えると筋肉は縮みます。

同時に血の巡りが落ちて、筋肉が働くために必要なものが届きにくくなります。


冬の下山は、この条件がそろいやすい場面です。

行動量は登りより落ちるのに、風は当たり、衣類は濡れている。

毛無山でのことを思い返すと、身体が冷えていたことは十分に考えられます。


冬の登山道に立った霜柱

もちろん、温めたら回復したという一例だけで、

冷えが原因だと決めてしまうことはできません。

それでも、山で私ができることとして身体を冷やさないは、

かなり上の方に来ると思っています。


前日の睡眠不足も効いてきます


もうひとつ、意外と見落とされているのが前日の睡眠です。


足が攣る仕組みについては、近年は「ひとつの原因で起こるのではなく、

いくつもの要因が重なって、

ある一線を越えたときに起こる」という考え方が紹介されるようになりました。

そして、その要因のひとつとして気温や睡眠不足が挙げられています。


登山の前日は、荷物の準備や早起きの緊張で眠りが浅くなりがちです。

攣りやすさという点から見ても、前日はしっかり眠っておいた方がよさそうです。



登りでふくらはぎが攣りそうになるのは、別の理由です


ここまで内ももの話をしてきましたが、

「自分はふくらはぎがつりそうになる」という方もいらっしゃると思います。


私が見てきた限り、ふくらはぎがつりそうになるのは登りの場面です。

それも、急な登りや、長くやや傾斜のある登りが続くときに多いように思います。


かいつまんで言うと、上り坂では膝が曲がり、つま先が上がった姿勢になります。

この形だと、ふくらはぎの奥にあるヒラメ筋が伸ばされた位置に置かれたまま、

身体を押し上げる仕事を続けることになります。


これは年齢の問題というより、場面の問題です。

若い方でも、条件がそろえば同じことが起こります。


ただ、若い方の場合は「つりそう」で止まることが多いように思います。

途中でストレッチをすると、案外そのまま歩けてしまいます。


ふくらはぎの話は長くなるので、また別の記事で詳しくお伝えします。


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よくある勘違い|「攣る=塩分不足」とは限りません


足が攣ったと言うと、

ほぼ必ず「水分と塩分が足りないんじゃない?」という話になります。


私も長いあいだ、そういうものだと思っていました。


ところが実際には、塩分もミネラルもきちんと摂っているのに攣っている方がいます。

私が見てきた中にも、そういう方がいらっしゃいました。


脱水と電解質の説は、いまは主流ではなくなっています


調べてみると、この「攣るのは脱水と電解質不足のせい」という説明は、

百年以上にわたって支持されてきたものの、

近年はそのままでは受け入れられなくなってきているそうです。


代わりに紹介されているのが、疲労によって筋肉を動かす神経の側のバランスが崩れる、

という考え方です。

先ほどの、疲れるとセンサーの働きが落ちるという話と同じ線の上にあります。


つまり「摂っているのに攣る」のは、摂り方が足りないからではないのかもしれません。

少なくとも、ご自身を責める必要はないと思います。


サプリメントについて、正直なところ


テニスをしている知人から、よく攣る人は専用の粉末を飲むと攣らなくなるらしい、

という話を聞いたことがあります。


気になったので試してみたのですが、私も知人も、そもそも足が攣りません。

そのため、効いたのかどうか判断のしようがありませんでした。


ですので、効きますとも効きませんとも申し上げられません。

試してみる価値はあると思いますが、

それだけで安心してしまうのはもったいないと思っています。



山に行く前と、山の中でできること


ここからは、実際にやってみていただきたいことをお伝えします。


① 入山前にストレッチをする


歩き出す前に、脚を伸ばしておいてください。

特に内ももと太ももの前です。


何をどうやるかについては、こちらの記事でまとめています。



② 休憩ごとに、脚を振って内ももを動かす


山の中でやっていただきたいのは、止めて伸ばすストレッチより、

軽く動かしながらのストレッチです。


歩いている途中で長く止まって伸ばすのは、身体も冷えますし、なかなか続きません。


内ももに向けたおすすめは、とても簡単な動きです。


片足を軸にして立ち、もう片方の脚を左右にぶらぶらと振ってください。


片足を軸にして、もう片方の脚を身体の前で交差させてから外側に振る動的ストレッチの図

トレッキングポールで身体を支えたり、木や岩に手をついて構いません。

大きく振る必要はなく、振り子のように力を抜いて揺らすだけで十分です。

左右を替えて、同じように行ってみてください。


休憩のたびに、ほんの少しでいいので入れてみてください。

止まっている時間に脚を動かしておくと、次の一歩が軽くなります。


太ももの前も、休憩のたびに伸ばしておきたい場所です。

やり方は①で触れた記事にまとめてあります。


③ ふくらはぎは、止めて伸ばす形で


ふくらはぎは、動かしながら伸ばすのが難しい場所です。

こちらは普通のストレッチで構いません。


段差につま先をかけてかかとを下ろす形でも、

木に手をついて後ろ脚のかかとを地面に付ける形でも大丈夫です。


登りでつりそうになった経験がある方は、登りの途中の休憩に入れてみてください。


登山道でふくらはぎを伸ばしている
後ろ足の踵が浮かないように気をつけて頭から踵まで一直線で伸ばす

④ 冷やさない、そして前日によく眠る


この2つは先ほど触れたとおりです。

汗をかいた状態で止まると、身体は一気に冷えます。

休憩のときは一枚羽織る、風の当たらない場所を選んでみてください。


前日の準備は早めに終わらせて、眠る時間を確保しておきましょう。



登山の前日はしっかり睡眠をとるのが◎
登山の前日はしっかり睡眠をとるのが◎

現場でよく見るケース


最後に、私がこれまでに見てきたことをまとめておきます。


先ほども触れましたが、攣ると聞くのはほぼ全員が太ももの内側です。

年代は60代以降が中心で、場面は下りに偏っています。

登山でふくらはぎが攣ったという方には、私はあまり出会っていません。


これは衰えという話ではないと思っています。

内ももは、普段の生活の中であまり大きく動かす機会のない場所です。

日常で動かしていない分、山で急に働かされると限界が早く来る。

そういうことではないかと考えています。


脚を触ると、内ももと前ももが硬いように思います


以前スタジオに通ってくださっていた方の中に、

登山をされる方が何人かいらっしゃいました。

その方たちからも、足が攣るという話をよく聞いていました。


実際にその方たちの脚に触れてみると、

内ももと前ももが硬い方が多いように感じました。


ただし、これはあくまで私の感覚です。

人数もそれほど多くはありません。

攣った直後の脚に触れたことはないので、

そのとき筋肉がどうなっていたのかは分かりません。


それでも、普段から硬くなっている場所が、山で真っ先に音を上げるというのは、

ありそうな話だと思っています。


内ももは股関節の筋肉です。

あぐらや開脚がつらいという方は、同じ場所が関係している可能性があります。




私自身は、登山で攣ったことがありません


正直にお伝えしておくと、私は登山で足を攣った経験がありません。


ですので、攣ったときのつらさを身をもって知っているわけではありませんし、

塩分やサプリメントが効くのかどうかも、自分の身体では確かめられていません。


私が書けるのは、攣った方のそばにいて見てきたことと、

攣ると言う方の脚に触れてきたことだけです。

そのうえで、何が起きているのかを身体の仕組みから考えてみました。



まとめ


今回のポイントをまとめます。


  • 登山で攣るのは、ふくらはぎより太ももの内側が多く、場面は下り

  • 内ももにある内転筋群は、下りで着地の衝撃を受け止め、働き続けている

  • 登りでふくらはぎがつりそうになるのは別の理由。伸ばされた位置のまま押し続けているから

  • 攣る原因は塩分だけではない。冷えと前日の睡眠も関係していると考えられる


できることは、この4つです。


  1. 入山前に内ももと前ももを伸ばしておく

  2. 休憩のたびに、片足立ちで脚を左右に振る

  3. 休憩中に身体を冷やさない

  4. 前日にしっかり眠る


まずは無理のない範囲でセルフケアから始めてみてください。



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