【山小屋で眠れない②】歩き疲れているのに寝付けない|胸の硬さと呼吸の話
更新日:6 日前
はじめまして。
「好きなことを続ける身体ラボ」を運営しているゆかりです。
登山やバレーボールなど、好きなことを長く楽しむためには、
身体のメンテナンスが欠かせません。
このブログでは、ストレッチトレーナーとしての知識と、私自身の体験をもとに、
動きやすい身体づくりのヒントを発信しています。
本日のお題
あれだけ歩いたのに、どうして寝付けないのでしょう
この記事は「山小屋で眠れない」シリーズの第2回です。
第1回では、硬い布団で身体が痛くなる話をしました。
山で眠れない夜には、もう一つの形があります。
どこも痛くないし、身体はくたくたに疲れている。
それなのに、目が冴えて寝付けない夜です。
これは不思議なことのようですが、身体の中では筋が通っています。
鍵になるのは呼吸です。
そして呼吸の深さを決めているのは、意外にも胸の硬さだったりします。
この記事では、なぜ疲れているのに寝付けないのかを身体の仕組みからお話しします。
そのうえで、寝る前にできることをお伝えします。
こんなお悩みありませんか?
山で歩き疲れているのに、布団に入ると目が冴える
痛いところはないのに、寝付くまでに時間がかかる
標高の高い山小屋ほど眠りが浅い気がする
普段から呼吸が浅い、息が吸いにくいと感じることがある
1つでも当てはまる方は、最後まで読んでみてください。
疲れていることと、眠れることは別の話です
「たくさん歩いたから、今日はよく眠れるはず」と思って布団に入ったのに眠れない。
そんな経験はありませんか。
身体が疲れていることと、身体が休む側に切り替わっていることは、実は別の話です。
筋肉が疲労していても、神経が興奮したままなら、身体は休むモードに入りません。
山では移動も景色も人も、普段と違う刺激が一日中続きます。
そのうえ標高も変わります。
では、休むモードに入るかどうかは何で決まるのでしょうか。
ここで呼吸が出てきます。
寝つきが悪い方の身体には、共通して硬い場所があります
ここからは、施術の現場で感じていることをお話しします。
スタジオでいろいろな方の身体に触れていると、寝つきが悪い方や眠りが浅い方には、
共通して硬い場所があります。
胸があまり開かない、肩が前に出ている、そして上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん/二の腕の裏側の筋肉)の伸びが悪い。
この3つが揃っている方が、よくいらっしゃいます。
興味深いのは、ご本人がそれを眠りの問題だと思っていないことです。
いらっしゃる理由は、肩こりや姿勢、身体の硬さであることが多いです。
施術のなかで眠りの話になって、はじめて結びつくという流れになります。
痛みの話ではないのに、なぜ眠りと関係するのでしょうか。
胸の硬さは、呼吸に直接効いてくるのです。
胸が硬いと、吸うときに肋骨が持ち上がりません
少しだけ身体の仕組みに触れさせてください。
ここが分かると、後半のストレッチの意味が変わってきます。
息を吸うとき、身体の中で起きていること
息を吸うとき、2つのことが同時に起きています。
横隔膜(おうかくまく/肺の下にあるドーム状の筋肉)が収縮して下がることと、
肋骨が持ち上がることです。
肋骨と背骨と胸骨は、胸郭(きょうかく)というカゴのような構造を作っています。
肋骨が持ち上がるとこのカゴが広がり、中の肺がふくらむ余地ができます。
つまり深い呼吸は、横隔膜が下がり、胸郭が広がることで成り立っています。
どちらか一方だけでは足りません。
胸の前が縮むと、カゴが広がらなくなります
ここで胸の硬さが関係してきます。
胸の前側が縮んで肩が前に出ている状態だと、
息を吸うときに肋骨がうまく持ち上がりません。
肋骨の間にある肋間筋(ろっかんきん)が硬い場合も、
胸郭の動き自体が小さくなります。
胸郭が広がらないと、横隔膜も下がりきれません。
下がる先のスペースが足りないからです。
結果として、浅い呼吸になります。
胸が硬くなると息が吸いにくくなるのは、こういう仕組みだと考えられています。

浅い呼吸では、身体が休む側に切り替わりません
呼吸の深さは、自律神経と結びついています。
深くゆっくりした呼吸は副交感神経を優位にしますが、
浅く速い呼吸が続くと交感神経が優位なままになりやすいと言われています。
歩き疲れているのに寝付けない、という夜はこの形になっていることがあります。 身体は疲れているのに、
休む側のスイッチが入っていない状態です。
標高が上がると、この差がそのまま出ます
ここまでは平地でも起きる話です。
山ではここに、もう一つの条件が重なります。
標高が上がると、空気中の酸素は薄くなります。
同じように呼吸をしていても、取り込める酸素は平地より少なくなります。

もともと胸が硬くて呼吸が浅い方は、ここでさらに不利になります。
山では眠りが浅くなりやすいと言われるのは、この影響もあると思います。
私自身、立山で高山病になったことがあります。
あのときの原因は、睡眠不足だったと考えています。
移動の日は朝からずっと仕事が詰まっていて、仮眠を取る時間がありませんでした。
そのまま深夜バスに乗ったのですが、
バスの中でもほとんど眠れないまま山に向かうことになりました。
標高と睡眠と呼吸は、山ではひと続きの話なのだと思います。
胸を開くストレッチ|眠れない夜が続く方は毎晩どうぞ
ここからは、ストレッチトレーナーとして試してみてほしいことをお伝えします。
山に行くといつも眠れない、という方は毎晩やってみてください。
山にいるときだけではなく、普段の夜もです。
普段から寝付きが悪い方、睡眠の質があまり良くないと感じている方も同じです。
続けた方が眠れるようになると思います。
一方で私自身は、普段はわりと眠れる方です。
なので山で眠れないときや、夜中に目が覚めてしまったとき、
どうも寝付けないときにやっています。
毎晩やっているわけではありません。
困っている度合いによって、使い方が変わるということだと思います。
眠れない夜が多い方ほど、毎日の習慣にする価値があります。
横向きに寝て、上の腕を斜め上に開く
胸のストレッチは、横向きに寝た状態で行えます。
上側にきている腕を、斜め上の方向に開いて、床に近づけていきます。
斜め上に向けると、
大胸筋(だいきょうきん/胸の表面にある大きな筋肉)がより伸びます。
布団の上でそのままできて、音も出ませんし場所も取りません。
横向きで寝る方なら、寝る姿勢からそのまま始められます。
伸びているのを感じるところで止めて、そのまま呼吸を続けてみてください。
ここが大事なところです。
伸ばしながら呼吸をすると、胸郭が動く感覚が分かりやすくなります。
伸ばしている最中に、吸える量が変わります
胸を開いた状態で息を吸うと、いつもより入ってくる感じがすることがあります。
カゴが広がる余地ができた分、横隔膜も下がれるようになるからです。
難しく考えなくても大丈夫です。
伸ばして、ゆっくり吸って、ゆっくり吐く。
それだけで十分だと思います。
テント泊のときは、音にだけ気をつけて
山小屋の布団なら、横になったまま静かにできる動きです。
ただテント泊だと、寝袋の生地のガサガサという音が出てしまいます。
周りが気になる方は、寝袋に入る前に済ませておく方が安心だと思います。
まとめ
今回のポイントをまとめます。
身体が疲れていることと、身体が休む側に切り替わっていることは別の話
寝つきが悪い方には、胸が開かない・肩が前に出る・上腕三頭筋が硬いという共通点がよくある
胸が硬いと、吸うときに肋骨が持ち上がらず、横隔膜も下がりきらない
その結果が浅い呼吸で、浅い呼吸では交感神経が優位のままになりやすい
標高が上がって酸素が薄くなる山では、この差がそのまま出る
できることは、この2つです。
横向きに寝て、上の腕を斜め上に開き、胸を伸ばす
伸ばしたまま、ゆっくり吸って、ゆっくり吐く
たまに眠れない程度なら、寝付けない夜に思い出していただければ十分です。
ただ、山に行くといつも眠れない方や、普段から睡眠の質が気になっている方は、毎晩の習慣にしてみてください。 山にいる夜だけ整えようとしても、
間に合わないことがあります。
まずは無理のない範囲でセルフケアから始めてみてください。
次回は、前日だけ早く寝ようとしても眠れない、という話をお伝えします。
山に行く前の夜だけ布団に入る時間を早めても、なかなか寝付けないことがあります。
動かすのは、寝る時間ではなく起きる時間です。
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こんなお悩みはありませんか?
胸が開かず、呼吸が浅い気がする
寝つきが悪い・眠りが浅い
肩が前に出ている、巻き肩が気になる
登山後に疲れが残る
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